The Armored Train Page

臨時装甲列車
Temporary Armored Train
更新 2001年04月01日


 戻 る 

 臨時装甲列車は 1932年(昭和7年) に製造された重装甲列車で、満州を中心とした作戦行動に就いていました。12両編成で多数の火砲と機銃を備えた重武装を誇り、 そのプロファイルはドイツのBP4x系装甲列車に勝るとも劣らぬ堂々たるものでした。満鉄は満州国経済を支える大動脈として非常に重要であり、同列車の果した役割も大きなものであったことでしょう。
 一般的に貧弱であった日本陸軍の兵器の中で、この装甲列車だけは例外的に見るものに威風堂々とした荘厳な印象を与え、当時の日本の鉄道技術水準の高さを窺い知ることができます。

【臨時装甲列車の編成と装備】


警 戒 車
2 両
 60cm 探照灯
 一一年式 6.5mm軽機関銃 × 1
重 砲 車
1 両
 一四年式 105mm加農砲 × 1
 三年式 6.5mm重機関銃 × 1
軽 砲 車
2 両
 一一年式 75mm高射砲 × 2
 三年式 6.5mm重機関銃 × 4
歩 兵 車
2 両
 九三式 13mm対空重機関銃 × 2
 三年式 6.5mm重機関銃 × 4
指 揮 車
1 両
 三年式 6.5mm重機関銃 × 2
 指揮/射撃統制系統
機 関 車
1 両
 ”ソリイ”(1D)型蒸気機関車
(拡張)炭水車
1 両
 石炭(600km走行分)/水(300km走行分)
 一一年式 6.5mm軽機関銃 × 2
資 材 車
1 両
 機関資材/修復資材
 無線通信系統
臼 砲 車
1 両
 四年式 150mm榴弾砲 × 1
 三年式 6.5mm重機関銃 × 4

 満州の平原を行く臨時装甲列車の勇姿。その逞しさはまるで陸の巡洋艦隊のような風格すら感じさせます。車上に立っている兵士と比較しても、大陸用の鉄道車両の大きさがわかるでしょう。

 編成の両端に連結される警戒車。車両の前面積を狭くし、プロファイルを小さくとっているのは防御の観点からでしょうか。円筒状の監視塔は他の軌道車類にも同様の形状のものが採用されています。

 編成中、最も射程の大きな火砲である 105mm加農を搭載した重砲車。巨大な砲塔のため、直径の大きなターレット・リンクは車体よりもわずかにはみ出しています。床下には安定脚があり、射撃の際にはこれを降ろして車体を安定させていたようです。

 75mm高射砲を2門搭載した軽砲車。2つの砲は互いに射線が干渉しないように段差をつけて搭載されています。この高射砲は最大 85°と、垂直に近い広い射角を持っていました。

 装甲列車を統率する指揮車。編成中でもとび抜けて高い車高は2階建て構造になっているようです。下階部には指揮統率機能が、上階部には観測機能が収まっていたものと思われます。

 修復用の資材等を搭載した資材車。車体の側面装甲と屋根上の無線アンテナがなければ、その形状は当時の一般的な二重屋根式の3等客車とほぼ同じものです。

 ずんぐりとした砲塔が特徴的な臼砲車。搭載している 150mm榴弾砲は射程こそ短いものの、その弾量は 36kg と 105mm加農砲の倍以上もあり、同列車の搭乗兵にとってはたのもしい存在であったことでしょう。

【Memo 満鉄/鮮鉄の車両形式】

 中国大陸の鉄道はゲージが欧米と同じ国際標準軌の 4ft-8.5in (1435mm) でした。これは、日本本土において国鉄をはじめ多くの路線が採用していた狭軌の 3ft-6in (1067mm) よりもはるかに広く、したがって鉄道車両も本土のものよりもひと周り大きなものが作られました。 本土の標準的な貨車が13t積であったのに対し、満鉄では35t(鮮鉄30t)、3等客車が本土64名定員に対して満鉄/鮮鉄では80〜100名定員と大型でした。

 こうした満鉄/鮮鉄の車両には本土車両とは異なる独自の形式名が割り当てられました。蒸気機関車の形式名は本土車両では英字1字+数字2字(動軸数のアルファベット表記+形式2桁追番 例:D51、C53等)でしたが、 満鉄/鮮鉄ではカナ3桁(米国式俗称のカナ2桁+形式追番のカナ表記1桁)が採用されました。例えば、『あじあ号』の牽引機として有名な”パシナ”型機関車は、パシフィック(2C1)型軸配置で7(ナ)番目に作られた形式の蒸気機関車ということになります。

 一方、電気機関車もこれに類似したカナ3桁(1桁目=電気を表す”デ”、2桁目=動軸数のカナ表記1桁、3桁目=形式追番のカナ表記1桁、)を採用しています。また、貨車や客車にも独自の形式名が採用されていたようです。

 <例>
   ”ソリイ” コンソリデーション(1D)型軸配置で1(チ)番目に作られた形式の蒸気機関車
   ”ミカイ” ミカド(1D1)型軸配置で1(チ)番目に作られた形式の蒸気機関車
   ”デロニ” 動軸数6軸(ク)の2()番目に作られた形式の電気()機関車

 満鉄の1D”ソリイ”型機関車を母胎とした装甲機関車。全周にわたって本格的な装甲が施されています。それにしても、この臨時装甲列車にはかなりハッキリとした迷彩塗装が施されていたようです。

 こちらは機関車の後方に併結された拡張炭水車。機関車自体が持つ炭水車の他に長期の作戦行動に備えるために増設されたもの。装甲化され、かつ機銃等の武装も付加されています。

 機関車と炭水車の上面。バルジで支えられた箱型構造の装甲板の様子がよくわかります。炭水車には石炭が定量を袋詰にして積載されています。


[PR]三井住友海上きらめき生命:医療保険のご案内と資料請求はこちらから